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・更新未定です
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 授業参観、それは親が我が子の頑張りを見るために学校に行く日である。頭のいいこの親は胸を張れる。やんちゃな子の親は子どもの粗相をしないか心配である。子どもの成長した姿を楽しみにした親がやってくる。

 いわゆるベッドタウンにあるその学校は、少子化が騒がれているにも関わらずたくさんの子どもが通っていた。当然、授業参観にやってくる親もたくさんいる。その多くは母親であった。

 そんな中、一人の初老の男性が廊下を歩いていた。スーツを見事に着こなしていた。一見すると、ベテラン教師に見える。すれ違う母親達も教師と思い会釈をして通り過ぎていく。が、男性は一度も教鞭を握ったことがない。つい先日まで一介のサラリーマンとして身を削って働いていた。

 サービス残業は当たり前であった。有休はほとんど使わなかった。土曜出勤も当然のことだった。そんな男性は、一度も息子の学校行事に参加したことがなかった。授業参観はもちろん、運動会も音楽会も入学式も卒業式も一度も見に行ったことはなかった。

 そんな男性に小さい息子は何度も、一度は身に来てくれと頼んできた。その度に口約束をして、破って怒られていた。起こってる姿がまたかわいかった。そんなことを考えながら男性は廊下を歩く。

 この年になって、会社を自主退職した。蓄えは十分あったし、以前からの夢であった居酒屋を開いた。夕方からは忙しいが、昼間は以前より明らかに自由になった。やっと息子の学校行事を見に行くことが出来るようになった。男性はそのことを喜んだ。

 しかし、息子に授業参観を見に行くと話したら、来ないでくれと言われた。そのことが悲しい反面、嬉しかった。もうそんな年頃なのか、大きくなったなぁと、感心した。

 今日はこっそりと来ていた。だから息子の教室の場所がわからなかった。すれ違う婦人に息子の教室の場所を尋ねたりした。一見すると教師に見えるため、不思議に思われた。しかし、場所は聞き出せた。

 息子の教室が近づいていた。男性は足が速くなる。もう少しで息子の姿が見える。息子はちゃんとできてるのだろうか。はやく息子の姿が見たい。年柄にもなく男性は期待に胸を膨らませて廊下を歩いた。

 男性は学校が嫌いだったが、その息子は学校が好きらしかった。母親の育て方が良かったのだろう。男性は妻に感謝していた。学校に行くことを毎日楽しんでるようであった。
「では、この問題がわかる人は挙手して」

 廊下の奥、息子の教室から声が聞こえてきた。しっかりとした自信に満ちた男の声だった。その声を聞いて男性の眼わずかに湿った。

 その声は紛れもなく、息子の声だった。今年で二十八歳になる息子のものだった。





執筆日:2011-02-18
公開日:2011-02-19
加筆修正日:2011-02-21
執筆者:元伊六
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