about?

・更新未定です
・SSNのSSは二次創作のことではなく、ショートストーリーのことです
・当サイトは完全オリジナルの短い小説のみ公開しております
 閑静な住宅街にある喫茶店。美しいイルミネーションで彩られていた。店内の一角に置かれたもみの木にはこの日を祝うための飾り付けがされていた。
 限定パフェをつつく女子高生、本日のご馳走の話をする主婦、欲しいプレゼントについて話す親子、いろんな人がいた。店内は幸せなムードに満ちていた。

 そんな雰囲気に馴染みきれない男が一人。中年と呼ぶには少し早いが、若さは感じられない。精悍な顔立ち、シャープなメガネ、眉間に寄った皺、皺ひとつない背広、きっちりと締められたネクタイが近づきがたい雰囲気を醸し出していた。しかし、それ以上にこの日の彼は寂びそうな背中をしていた。机に置かれたかわいく包装された箱は彼には似つかわしくなかった。

 はぁあ、と深いため息をした。ほとんど口をつけていないコーヒカップは既に熱を失っていた。男はここに来てからため息ばかりついていた。視線は箱にそそがれていた。たまにケータイ電話を取り出してぼーっと見ていたが、それ以外では箱をずっと見ていた。なにかを迷っているようだった。

「プレゼントですか?」
 男の様子を伺っていた店員がやってきて、男に尋ねた。

「一応」
 男は短く答えた。自信のない震える声だった。

「娘さんにあげるんですか?」
「そのつもりだったが……」
 店員の言葉に男は少し迷うそぶりを見せた。

「私のただのエゴなのかも知れない」
「今日は、サンタさんが子どもたちにプレゼントを配る日です。実はお客様あてのプレゼントを預かっているんです」
 店員は微笑みながら一通の封筒を男に渡した。

「私に……?」
 男は怪訝そうな顔つきで封筒をみた。とても綺麗な字で書かれた宛名は確かに男の名前だった。その字には見覚えがあった。封筒の裏に書かれた差出人の名前は、男が過去に永遠を誓い合った女性のものだった。

「開けてみてください」
 勇気付けるような店員の言葉に促され、男は封筒を開けた。中に一枚の手紙があった。そこには、


『サンタさんへ。
 ぷれぜんとは いりません
 そのかわり ぱぱにあわせてください
 しおりより』

 そう書かれていた。その字は封筒の字とは違って、幼い子どものものであった。
 

 しばらく、手紙をじっと見ていた男は携帯電話を取り出した。その表情に迷いはなかった。





執筆日:2010-12-25
公開日:2010-12-26
加筆修正日:2010-12-26
執筆者:元伊六
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