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・更新未定です
・SSNのSSは二次創作のことではなく、ショートストーリーのことです
・当サイトは完全オリジナルの短い小説のみ公開しております
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赤い服に赤い帽子を被って白いひげをつけて、大きな白い袋を背負った男性が歩いてた。とても目立つ格好でしたが、夜道にたまにすれ違う人は疑問に思わなかった。なぜなら、今日はクリスマスと呼ばれる日だから。
子どもにプレゼントを渡すのに本格的な格好をしたお父さんか、それとも飲み会での余興の服装のまま帰宅してるのか、はたまたサンタ代行なんてお仕事ができたのか、すれ違う人たちはそう考えた。
しかし、男がその格好をしてる理由はそのいずれでもなかった。彼が背負った袋にはたしかにおもちゃやゲームが入っていた。が、それは子どもたちに配るためではない。男の言葉を借りるなら戦利品だった。今夜一晩かけて歩き回って手に入れた品だった。
男はいわゆる泥棒だった、少々特殊な。子ども部屋にだけ侵入し、おもちゃやゲームだけ盗んでいた。ほかの金目のものや現金や手帳には一切手をつけてなかった。最近は子どものおもちゃも高く売り払うことができる。なかには発売直後に売り切れ、ネットオークションで原価の十倍ほどで取引されているゲームなどもあった。
この格好をしていればこの日に限り、簡単に子ども部屋に侵入することができた。家の人に見付からないよう、子ども部屋から侵入して子ども部屋から出て行く。出入りするところを見られても手の込んだサンタ役だと思われるだけである。基本的にもの音を立てないが、それでも子どもが目を覚ましても、驚かれても怪しまれはしなかった。大人にもの音を聞かれても、興奮して眠れない子どもがバタバタしてると思われるだけである。
「次で最後の一軒にするか」
すでに数十件回っていた。ターゲットの家は裏ルートから入手した小学校の名簿を参考にしていた。これだけ盗れば、年を越すには十分である。
ボロいアパート。その一回にある小さな部屋。そこを最後のターゲットに選んだのは気まぐれだった。すでにめぼしい家は周りきっていた。事前調査ではここは母子家庭で、その母親は夜の仕事に出かけている。金の匂いがしなかったから、それ以上のことは調べていなかった。
侵入はたしかに簡単だった。ドアは古く、ピッキング対策が施されていなかった。狭い家の中で子ども部屋を捜すのも簡単だった。事前の調べなしでここまで簡単に侵入できることも珍しい。
子ども部屋は予想通りにさびしいものだった。必要最低限のものしかおかれていなかった。片付いているというより、散らかすものがないといったほうがいいだろう。子どもが被る布団は薄いものが一枚だけだった。当然のように暖房器具は置かれていない。
「寒くないのか?風邪引くんじゃないのか?」
男はついつい寝ている子どもを心配してしまった。
その声に子どもは目を覚ました。
「だ、誰?」
子どもの上げた大きな声に男は驚いた。それでも比較的落ち着いて、対処する。
「サンタクロースだよ、坊や」
「嘘だ、うちにサンタさんは来ないんだよ」
しかし、子どもは信用しなかった。それもそのはずで、この子は一度もサンタからのプレゼントをもらったことがなかった。
「うちにはお金ないから、早く帰ってよ」
泥棒と決め付け、それでも怯むことなく子どもは畳み掛ける。
「ほんとにサンタさんだって」
それでも男は取り繕うとする。
「ほんとに? じゃ証拠みせて」
「証拠?」
子どもの言葉に男はつい聞き返した。
「サンタなら僕にプレゼントをくれるために来たんだよね?」
「も、もちろんさ」
「じゃ、はやくちょーだい」
そういわれて男は困った。なぜなら男には子どもの欲するプレゼントがわからなかったからだ。
「なにが欲しいんだ?」
「サンタなら知ってるはずでしょ?やっぱり偽者なんだね」
男は背負った袋のことを考える。おもちゃならたくさんある。どれを渡そうかと悩んでいた。
「べ、別に無理しなくていいよ。どうせ僕にプレゼントくれる人なんていないんだから」
突然、子どもは泣き出した。男はあわてた。
「そ、そんなことないおじさんは君にプレゼントを持ってきたんだから」
「嘘だぁ、そんなはずない」
男は子どもを必死にあやしていた。しかし、なんでこんなことしてるんだろうと疑問に思いながら。
「ほら、これをあげよう」
そういって、いま人気のおもちゃをとりだした。
それを見て子どもは笑顔になった。
その笑顔を見ながら男は思った。いいことするのもたまには悪くないな、と。
執筆日:2010-12-25
公開日:2010-12-26
加筆修正日:2010-12-26
執筆者:元伊六
子どもにプレゼントを渡すのに本格的な格好をしたお父さんか、それとも飲み会での余興の服装のまま帰宅してるのか、はたまたサンタ代行なんてお仕事ができたのか、すれ違う人たちはそう考えた。
しかし、男がその格好をしてる理由はそのいずれでもなかった。彼が背負った袋にはたしかにおもちゃやゲームが入っていた。が、それは子どもたちに配るためではない。男の言葉を借りるなら戦利品だった。今夜一晩かけて歩き回って手に入れた品だった。
男はいわゆる泥棒だった、少々特殊な。子ども部屋にだけ侵入し、おもちゃやゲームだけ盗んでいた。ほかの金目のものや現金や手帳には一切手をつけてなかった。最近は子どものおもちゃも高く売り払うことができる。なかには発売直後に売り切れ、ネットオークションで原価の十倍ほどで取引されているゲームなどもあった。
この格好をしていればこの日に限り、簡単に子ども部屋に侵入することができた。家の人に見付からないよう、子ども部屋から侵入して子ども部屋から出て行く。出入りするところを見られても手の込んだサンタ役だと思われるだけである。基本的にもの音を立てないが、それでも子どもが目を覚ましても、驚かれても怪しまれはしなかった。大人にもの音を聞かれても、興奮して眠れない子どもがバタバタしてると思われるだけである。
「次で最後の一軒にするか」
すでに数十件回っていた。ターゲットの家は裏ルートから入手した小学校の名簿を参考にしていた。これだけ盗れば、年を越すには十分である。
ボロいアパート。その一回にある小さな部屋。そこを最後のターゲットに選んだのは気まぐれだった。すでにめぼしい家は周りきっていた。事前調査ではここは母子家庭で、その母親は夜の仕事に出かけている。金の匂いがしなかったから、それ以上のことは調べていなかった。
侵入はたしかに簡単だった。ドアは古く、ピッキング対策が施されていなかった。狭い家の中で子ども部屋を捜すのも簡単だった。事前の調べなしでここまで簡単に侵入できることも珍しい。
子ども部屋は予想通りにさびしいものだった。必要最低限のものしかおかれていなかった。片付いているというより、散らかすものがないといったほうがいいだろう。子どもが被る布団は薄いものが一枚だけだった。当然のように暖房器具は置かれていない。
「寒くないのか?風邪引くんじゃないのか?」
男はついつい寝ている子どもを心配してしまった。
その声に子どもは目を覚ました。
「だ、誰?」
子どもの上げた大きな声に男は驚いた。それでも比較的落ち着いて、対処する。
「サンタクロースだよ、坊や」
「嘘だ、うちにサンタさんは来ないんだよ」
しかし、子どもは信用しなかった。それもそのはずで、この子は一度もサンタからのプレゼントをもらったことがなかった。
「うちにはお金ないから、早く帰ってよ」
泥棒と決め付け、それでも怯むことなく子どもは畳み掛ける。
「ほんとにサンタさんだって」
それでも男は取り繕うとする。
「ほんとに? じゃ証拠みせて」
「証拠?」
子どもの言葉に男はつい聞き返した。
「サンタなら僕にプレゼントをくれるために来たんだよね?」
「も、もちろんさ」
「じゃ、はやくちょーだい」
そういわれて男は困った。なぜなら男には子どもの欲するプレゼントがわからなかったからだ。
「なにが欲しいんだ?」
「サンタなら知ってるはずでしょ?やっぱり偽者なんだね」
男は背負った袋のことを考える。おもちゃならたくさんある。どれを渡そうかと悩んでいた。
「べ、別に無理しなくていいよ。どうせ僕にプレゼントくれる人なんていないんだから」
突然、子どもは泣き出した。男はあわてた。
「そ、そんなことないおじさんは君にプレゼントを持ってきたんだから」
「嘘だぁ、そんなはずない」
男は子どもを必死にあやしていた。しかし、なんでこんなことしてるんだろうと疑問に思いながら。
「ほら、これをあげよう」
そういって、いま人気のおもちゃをとりだした。
それを見て子どもは笑顔になった。
その笑顔を見ながら男は思った。いいことするのもたまには悪くないな、と。
執筆日:2010-12-25
公開日:2010-12-26
加筆修正日:2010-12-26
執筆者:元伊六
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