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・更新未定です
・SSNのSSは二次創作のことではなく、ショートストーリーのことです
・当サイトは完全オリジナルの短い小説のみ公開しております
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日が落ちて数時間、日が昇るまでもう少し、朝が早い老人でもまだ起きないような時間。ボロアパートの一室からは明かりが漏れていた。その部屋の主である男は、何度目かになるセンター入試のための勉強をしていた。こんな時間に勉強してるのは、やる気の表れ。というわけではなく、自堕落な日常を繰り返した結果、時間間隔がおかしくなっただけである。
「ふぅ、この問題終わったら休憩するか」
解いた問題はわずかに一問。ついさっきネットゲームをやめ勉強をはじめたばかりである。が、自堕落な生活を繰り返すと集中力はもたなくなる。それに、男はセンター試験にかける情熱を失っていた。いや、自分の将来に対する情熱を。
参考書を片付け、PCの電源を立ち上げた。このまま今日も日が昇るまでゲームに没頭し、疲れれば寝る。そんないつも通りの堕落した生活をしようとしていた。
そんなときだった。舌足らずな子どもの声が部屋に響いたのは。
「とりっくあんどとりーと!」
「え?」
びくっりした男が後ろを振り向いたら、そこには小さな子どもが立っていた。顔はかぼちゃの被り物でわからない。性別も判断できなかった。背丈は小学校低学年くらいか。年齢もその程度と推測できる。そんな小さな子どもがうろうろしていい時間ではない。しかし、それ以上に、
「どこから入ってきたの?」
そんな疑問がまず浮かんだ。戸締りはしっかりしている。いくらボロアパートとはいえ、子どもの入り込めるような穴は開いていない。
「とりっくあんどとりーと。おかしをくれてもいたずらするよ」
子どもは、男の質問を無視してハロウィンの合言葉のような言葉を吐いた。その言葉で男は今日がハロウィンであることに気がついた。
「ちょっとまて、普通お菓子をくれなきゃいたずらするよ、だよ。覚えておこうね」
子ども相手だからか無意識に語尾が優しくなる。しかし、そんな言葉を無視して、子どもは手に持った水鉄砲らしきおもちゃを男に向けた。
お菓子なんてあったかな。男は普段お菓子を食べない。お菓子があるかどうか考えてるうちに、男は水浸しになっていた。ついでにPCも濡れていたが、男はそのことに気がついていなかった。
「わかった、お菓子をあげるからちょっと待てって」
先週、男友達と麻雀大会をしたとき、たしか誰かが持ってきたお菓子の残りがどこかにあったことを思い出した。子どもはおとなしく、手を出して待っていた。
「ほら、これでいいだろ。もうさっさと帰れ。俺は勉強で忙しいんだから」
言葉遣いがさっきより雑になったのは、水をかけられた怒りからか。男はお菓子を渡した。これで落ち着いてゲームができるだろう。
しかし、子どもは男の期待を裏切った。お菓子を受け取ったあとどこからか、ロケット花火を取り出していた。
「うそはよくないよ。おにいさん、べんきょうしないでしょ。もうあきらめてるんでしょ」
そういって、子どもはロケット花火をぶっ放した。壁に当たった花火はボロアパートを揺らした。そして、壁にかかっていた時計は落ち、その下にあったテレビにぶつかった。
「おい、ガキ、これは喧嘩売ってんのか?大人なめんなよ。あぁ」
言葉使いが荒くなったのは、完全に切れたから。ロケット花火よりも図星を指されたことが原因だった。実際、男はもう大学を諦めていた。今年のセンターが無理なら、実家の家業を手伝うという約束を親としていた。いますぐ手伝ってもよかったが、それはプライドが許さないから、条件つきで親の申し出を受けたのだった。
自分には過ぎた夢だったと諦めていたが、それをわけのわからない子どもに指摘されたのは、頭にきた。とっ捕まえて痛い目にあわせてやる。そう思って男は子どもに近づいていく。完全に大人気ないがそんなこともう意識になかった。
子どもはクスクス笑いながら近づいてくる男にエアガンを構えた。
男と子どもの追いかけっこはこうしてはじまった。子どもは器用に狭い部屋の中を逃げ続けた。あるときはエアガンやロケット花火で男を威嚇して、またあるときはバナナの皮や押しピンなどのトラップをしかけ、本棚の本を投げたり、さまざまなことをした。
結果、男が子どもを部屋の隅まで追い詰めたときには、部屋のなかは原型を留めていなかった。火事になっていないのがラッキーか。
「ふふ、やっと追い詰めたぞ、糞ガキが。お前のようなガキにいろいろと教えてやらないとな」
口元に不敵なな笑みを浮かべる男も、体のあちこちに痣ができており、肩で息をしていた。
「うふふ、おもしろかったよ。あそんでくれてありがとう。ぼくにおしえたいことがあるなら、もうすこしがんばってみたら?」
そういって、子どもは床になにかを投げつけた。それはいわゆる煙り玉というものだった。煙りが消えたころに子どもの影はなかった。
いったいなんだったんだ。あの糞ガキは。そう思って、部屋を見渡して男は愕然とした。無事ものはほとんどなかった。片付けが一苦労だった。
しかし、参考書などの勉強道具だけはすべて無事だった。偶然か故意か、これは男にもう少しがんばれということか。
「いいだろう諦めないぜ、糞ガキが。今度あったときは覚えて置けよ」
どうせ、こんな状況では勉強しかできない。これからは勉強の時間も増えるだろう。
執筆日:2010-10-26
公開日:2010-10-29
加筆修正日:2010-11-02
執筆者:元伊六
「ふぅ、この問題終わったら休憩するか」
解いた問題はわずかに一問。ついさっきネットゲームをやめ勉強をはじめたばかりである。が、自堕落な生活を繰り返すと集中力はもたなくなる。それに、男はセンター試験にかける情熱を失っていた。いや、自分の将来に対する情熱を。
参考書を片付け、PCの電源を立ち上げた。このまま今日も日が昇るまでゲームに没頭し、疲れれば寝る。そんないつも通りの堕落した生活をしようとしていた。
そんなときだった。舌足らずな子どもの声が部屋に響いたのは。
「とりっくあんどとりーと!」
「え?」
びくっりした男が後ろを振り向いたら、そこには小さな子どもが立っていた。顔はかぼちゃの被り物でわからない。性別も判断できなかった。背丈は小学校低学年くらいか。年齢もその程度と推測できる。そんな小さな子どもがうろうろしていい時間ではない。しかし、それ以上に、
「どこから入ってきたの?」
そんな疑問がまず浮かんだ。戸締りはしっかりしている。いくらボロアパートとはいえ、子どもの入り込めるような穴は開いていない。
「とりっくあんどとりーと。おかしをくれてもいたずらするよ」
子どもは、男の質問を無視してハロウィンの合言葉のような言葉を吐いた。その言葉で男は今日がハロウィンであることに気がついた。
「ちょっとまて、普通お菓子をくれなきゃいたずらするよ、だよ。覚えておこうね」
子ども相手だからか無意識に語尾が優しくなる。しかし、そんな言葉を無視して、子どもは手に持った水鉄砲らしきおもちゃを男に向けた。
お菓子なんてあったかな。男は普段お菓子を食べない。お菓子があるかどうか考えてるうちに、男は水浸しになっていた。ついでにPCも濡れていたが、男はそのことに気がついていなかった。
「わかった、お菓子をあげるからちょっと待てって」
先週、男友達と麻雀大会をしたとき、たしか誰かが持ってきたお菓子の残りがどこかにあったことを思い出した。子どもはおとなしく、手を出して待っていた。
「ほら、これでいいだろ。もうさっさと帰れ。俺は勉強で忙しいんだから」
言葉遣いがさっきより雑になったのは、水をかけられた怒りからか。男はお菓子を渡した。これで落ち着いてゲームができるだろう。
しかし、子どもは男の期待を裏切った。お菓子を受け取ったあとどこからか、ロケット花火を取り出していた。
「うそはよくないよ。おにいさん、べんきょうしないでしょ。もうあきらめてるんでしょ」
そういって、子どもはロケット花火をぶっ放した。壁に当たった花火はボロアパートを揺らした。そして、壁にかかっていた時計は落ち、その下にあったテレビにぶつかった。
「おい、ガキ、これは喧嘩売ってんのか?大人なめんなよ。あぁ」
言葉使いが荒くなったのは、完全に切れたから。ロケット花火よりも図星を指されたことが原因だった。実際、男はもう大学を諦めていた。今年のセンターが無理なら、実家の家業を手伝うという約束を親としていた。いますぐ手伝ってもよかったが、それはプライドが許さないから、条件つきで親の申し出を受けたのだった。
自分には過ぎた夢だったと諦めていたが、それをわけのわからない子どもに指摘されたのは、頭にきた。とっ捕まえて痛い目にあわせてやる。そう思って男は子どもに近づいていく。完全に大人気ないがそんなこともう意識になかった。
子どもはクスクス笑いながら近づいてくる男にエアガンを構えた。
男と子どもの追いかけっこはこうしてはじまった。子どもは器用に狭い部屋の中を逃げ続けた。あるときはエアガンやロケット花火で男を威嚇して、またあるときはバナナの皮や押しピンなどのトラップをしかけ、本棚の本を投げたり、さまざまなことをした。
結果、男が子どもを部屋の隅まで追い詰めたときには、部屋のなかは原型を留めていなかった。火事になっていないのがラッキーか。
「ふふ、やっと追い詰めたぞ、糞ガキが。お前のようなガキにいろいろと教えてやらないとな」
口元に不敵なな笑みを浮かべる男も、体のあちこちに痣ができており、肩で息をしていた。
「うふふ、おもしろかったよ。あそんでくれてありがとう。ぼくにおしえたいことがあるなら、もうすこしがんばってみたら?」
そういって、子どもは床になにかを投げつけた。それはいわゆる煙り玉というものだった。煙りが消えたころに子どもの影はなかった。
いったいなんだったんだ。あの糞ガキは。そう思って、部屋を見渡して男は愕然とした。無事ものはほとんどなかった。片付けが一苦労だった。
しかし、参考書などの勉強道具だけはすべて無事だった。偶然か故意か、これは男にもう少しがんばれということか。
「いいだろう諦めないぜ、糞ガキが。今度あったときは覚えて置けよ」
どうせ、こんな状況では勉強しかできない。これからは勉強の時間も増えるだろう。
執筆日:2010-10-26
公開日:2010-10-29
加筆修正日:2010-11-02
執筆者:元伊六
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