about?

・更新未定です
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・当サイトは完全オリジナルの短い小説のみ公開しております
 とある王国のとある小さな村。小さすぎて、王国内にも存在を知る人の少ない、そんな村であった。訪れる旅人も行商人もほとんどいないこの村は、当然のように自給自足していた。小さな畑で野菜を作り、近くの森で動物を狩り、近くの川で水と魚をとって、長閑に人々は暮らしていた。

 暖かい風が吹きはじめたある日のこと、その小さな村に一人の男がやってた。黒いローブに身を包んでいた。男は自らを魔法使いだといった。

 村人は困惑した。奇妙なものを見る眼で男性を見る。

「魔法使いとはなんじゃ?」
 村の長と呼ばれる老人が男に聞いた。男は少し戸惑い、それから丁寧に答えた。

「魔法を使うのを仕事としております」
「その魔法というのは一体なんじゃ?動物の名前か?」
 以前、老人がまだ幼かった頃村に訪れた旅芸人のサル使いのことを思い出して言った。はて、それらしいものも見えんなぁ。と、続けた。

「魔法を知らないのですか?」
 男は目を丸くした。いまだにこの国に魔法を知らないものがいるとは。と、心の中で呟いた。
 世間から隔絶されたこの村には、生活に必要のないことを知ってるものなどいなかった。世間の噂や流行りとは無縁だった。

「魔法とは、非常に便利で使えれば幸せになるものです」
 男はそう説明した。試しにと言って、男は手のひらの上に火の玉を作った。村人は歓声をあげた。

 村人がざわめく中、老人は冷静に言った。
「しかし、それは熱そうじゃな。焼けどしたら大変じゃぞ」


 こんなことも出来る。そう言って男は宙に浮かんだ。足が地面に付かないまま移動した。村人は一段と大きな声を上げた。

「それで、その魔法使いさまがなんのようじゃ?」
 老人だけは落ち着いていた。

「今回は特別に皆様に魔法を教えるために訪れました。こんな僻地だと不便なことも多いでしょう」
 男性は得意げに言う。

「ふむ、それで魔法が使えたらどうなるのじゃ?」
「いろんなことが出来ます。生活が楽になります。それに幸せになれますよ」

「結構じゃ、わしらには不要じゃ」
 きっぱりと断った老人に男性は困惑した。村人も不思議そうな顔をしていた。

 老人は言う。
「わしらは皆幸せじゃ。豊かに自然に囲まれ、食べるものにも困っておらん。村民はみんな仲がよい。子どもも元気に育っておる。なにも困ってはおらん」

 老人の言葉に、村人は頷いた。たしかにその通りだ。と口々に言っている。
「火は石と蒔きで起こせばよい。空なんぞ飛べる必要はない」
 さらに老人は続ける。
 

「そんな便利なものがなければ幸せになれないおぬしのほうが、不幸じゃぞ」





執筆日:2011-02-22
公開日:2011-02-27
加筆修正日:2011-02-27
執筆者:元伊六
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