about?

・更新未定です
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 そこはあたり一面真っ白な世界でした。見渡すがきりの白。世界のすべてが白に覆われていた。それでもまだ満足しない白は容赦なく空から舞い降りている。

 そんな世界に少年がひとりいました。少年は世界と同じような真っ白の肌をしていました。世界と同じような真っ白なコートを羽織、真っ白のズボンを履き、真っ白の長靴を履いていまして。一見すると世界と同化しそうな真っ白でした。首に巻いた青いマフラーと、青い帽子、、それから左手につけた青い手袋だけが、世界から浮いているようでした。

 その少年はキョロキョロと首と目を忙しなく動かしながら、同じ場所をくるくる歩き回っていました。

「困ったなぁ、この辺に落ちてると思うんだけど」

 透き通るように白く無機質な声でつぶやきました。
 しばらく少年はその動作を続けました。まるで壊れたおもちゃのように、それしかやることを知らないかのように。

 そうして、しばらく経ったころ、そこを女性が通りかかりました。彼女は、色鮮やかでした。一面白の世界が彼女の周りだけ色を持っているようでした。艶やかな黒い髪、見るものを飲み込むような黒い双眸。茶色いコートに青いジーンズ、青いニット帽、青と赤のマフラーをつけていました。それから、両手にはめたピンクの手袋。

「ねー君、どうかしたの?」
 色鮮やかな女性が色鮮やかな声で少年に声をかけました。
 急に話し掛けられた少年は驚きました。その後、どうしたらいいかわからなくなりました。

「何か落としちゃったの? あ、手袋ね。寒いでしょ? 大丈夫?」
 少年が黙っていると、女性が心配そうな声を出しました。
 少年は確かに手袋を探していました。でも、少年には寒いということがどういうことかわかりませんでした。女性の言ってることがわかりませんでした。

「はい、手袋をこの辺に落としました。ところで寒いとはなんですか?」
 少年は、やはり無機質で白い声でそう言いました。
 女性は自分の手袋を外して少年の右手を覆うように握りました。

「やっぱり、冷たくなってるわ、大変」


 女性に手を握られた少年は、その手からなにかが自分に染みるように入っていくのを感じました。それは胸いっぱいに広がりました。少年には、それがなにかわからなかったけど、うれしくなりました。

 ふと、口元が緩んだ少年を見て、女性は言いました。

「私の手袋をあげるわ」

「でも、それではあなたが”寒い”のではありませんか?」

 少年のその言葉に女性は首を振りました。

「私は家が近いから大丈夫よ」

 そういって女性は微笑みました。そして、自分のピンクの手袋を少年に渡しました。


 白い白い世界にひとつの雪だるまがあった。朝日を浴びたその雪だるまはまるで微笑んでいるようにまぶしい表情をしていました。青いバケツ、青いマフラーつけていました。左手には青い手袋、そして右手にはピンクの手袋をはめていました。






執筆日:2010-12-23
公開日:2010-12-26
加筆修正日:2010-12-26
執筆者:元伊六
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